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アラガミになった訳だが……どうしよう
夫になった訳だが……どうしよう?
44話
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い出したというように付け加えた。
「ご結婚、おめでとうございます!!」
彼女は明るい声で言ったつもりなんだろうが、隠し切れずに少なからず声が震えていた。
はぁ……いやさ、流石にここまでされれば俺でも分かる。カノンは俺に対して異性としての好意を持っていたのだろう。
もし俺がアラガミで無く、カノンとの出会い方が違っていれば彼女をそういう感情を持ったかもしれない。
贔屓目無しでカノンは容姿、性格ともにかなりの物で家事やらも十二分にこなせる。戦闘時や気分が高揚した時には性格が変わるのが問題だが、それ以外は目立った欠点もない。
およそ考えられる中では共に生きるには最高と言っていい女性だろう。
だが、俺はアラガミでカノンとは良くも悪くも出会った時の距離が近過ぎた。
カノンが物心つく前から世話をしたり、遊んでやったりした身としてはそういう目では見れないんだよ。
加えて俺はソーマのようなアラガミの因子を持った人間ではなく、アラガミそのものだ。どう考えても幸せな家庭を築くというのは非常に困難だろう。そんなもの結ばれた所でお互い傷付くだけだろうよ。
「で、お前はいつまで見ているつもりだ?」
「おや?バレてましたか……いつから?」
演習場の入り口のドアの向こうから、ユウが微笑みを浮かべながら現れた。こいつの性格としては空気を読んで入らなかったが、わざわざ何処かに行くのも時間の無駄なので待っていようといった具合だろう。
「お前がそこに立ってからずっとだ。アラガミの聴力をバカにするなよ?」
「これでも物音や呼吸音は立てないようにしたんですけど、やっぱり俺もまだまだですね」
まだ成長する気なのか、こいつ。
「お前はどこを目指しているんだ……まぁいい、さっき聞いた事は忘れてくれよ?」
「ええ、構いませんけど……一つお願いしてもいいですか?」
「もう一回演習場へ逆戻りは嫌だぞ」
「それもいいんですけど……ちょっと今回は違うんですよ」
ユウの僅かに目が細まりゾッとするような雰囲気が彼を覆う。頼むからアラガミの体が怯えるようなプレッシャーを発するな、本当にお前は何なんだよ。
「人殺しを手伝って貰えませんか?」
うん、色々と予想外過ぎる発言で思考が纏まっていないが、一言だけは言わせてくれ……最悪だ。











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