第一話 僕が大家!?しかも何このお屋敷!その八
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「私とお屋敷を用意して下さったのです」
「ううん、はじめて知ります」
「左様ですね、止様はあんまりな方ですから」
「正直否定しません」
あれだけの糞親父だ、四千人以上に手を出しているから尋常ではない。
「そのことは」
「そうですね、しかし」
「僕はですか」
「何も問題ありませんので」
また僕にお話してくれた、このことを。
「これから宜しくお願いします」
「何か色々あり過ぎて驚いてますけれど」
それでもだった、僕は執事さんに答えた。
「そういうことなら宜しくお願いします」
「それでは」
「はい、それでは」
執事さんは僕に一礼してくれた、こうして僕は晴れてお屋敷に執事さんまで付いて暮らす上に定期収入まであるという夢の生活に入ることになる、とこの時は思っていた。
だがそれは後の話でだ、僕は執事さんにここでこのことを尋ねた。
「あの、それでなんですか」
「何でございましょうか」
既に周りでは影の実行部隊の人達が左右に動いて引越し作業に当たってくれている、物凄い数の人達がテキパキと動いている。
「何かまだお聞きになりたいことが」
「執事さんのことで」
僕が聞くのはこのことだった。
「お聞きしたことが」
「私のことですか」
「八条家に就職されてますよね」
「はい、代々執事として」
このことも確認した。
「そうしています」
「それこれからですね」
「義和様の執事となります」
「そうですね、ではお名前は」
「畑中浩郎といいます」
「畑中さんですか」
「はい、畑中とお呼び下さい」
こう僕に言ってくれた。
「これから宜しくお願いします」
「それでは」
こうして執事さんのお名前も聞いた、畑中さんということはわかったのでこれから畑中さんと呼ばせてもらうことにした。そして。
引越し作業はあっという間に終わって僕は新居に入った、そこは。
海が見える綺麗な丘の上にある三階建てのそれこそイギリスの貴族のお屋敷みたいな洋館だった、棒はその洋館を前にしてびっくりして畑中さんに尋ねた。
「ここがですか」
「はい、義和様のお屋敷です」
「あの、凄いお屋敷ですね」
お屋敷の大きさが半端じゃない、本当に宮殿かと思える位だ。
「何ていいますか」
「これ位は八条家の方では普通の住居ですが」
どれだけ凄いんだ八条家。
「驚かれることはありません」
「僕の家もそれなりに立派でしたけれど」
「実は止様は一族から除け者にされていたので」
「あのお家でもですか」
「バラックの様なものでした」
八条家の基準では、というのだ。
「義和様はお気の毒でした」
「生活に困ったことはないですけれどね」
本当にそう感じたことは産まれてから一度もなかった、いつもあの糞親父がとは
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