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Element Magic Trinity
目覚める力
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ナツは歯を食いしばり、力を込める。

「うぬぬぬぬぬ……だらああああっ!」

パキィン!と。
氷が割れたと同時に、右拳に炎が纏われる。
それを吸収される前に消すと、ナツはシオを睨んだ。

「さっきからオレの炎消しやがって……何なんだテメエは!」
「だからー、災厄の道化(ミスフォーチュンクラウン)のー、シオ・クリーパー」

間延びした口調にナツの苛立ちが倍増する。
ピクリと眉が上がり、ギリッと歯を食いしばった。











――――1番失いたくないモノを失った時、人はここまで絶望するんだ。
“双魚宮”ポワソンと対峙するココロが最初に思ったのはこれだった。
育ての親である灰竜グラウアッシュに教えられた滅竜魔法。ココロの誇りであったその魔法を、目の前の少女はいとも簡単に奪った。
大切な魔法だったのに。灰竜との繋がりの証だったのに。

「灰竜の吐息」
「っ!」

先ほどまで自分が使えていた魔法を、ポワソンが扱う。
その両手から放たれた灰色の風の球体を慌てて回避する。

「凄いですね、滅竜魔法って!何か力が有り余ってる感じです!」

無邪気に笑うポワソンを、ココロが睨む。
魔導士相手に魔法が使えない者が戦うなんて無謀すぎる。
が、今ポワソンの相手として戦えるのはココロしかいない。
他のメンバーはデバイス・アームズの破壊に忙しいし、スバルとヒルダは“巨蟹宮”クラッベと“人馬宮”フレシュを相手にしていた為魔力を誰よりも消費している。乱入したクロノはジョーカーと戦っている。
本当は化猫の宿(ケット・シェルター)にいた時からの友達であるウェンディに来てほしいのだが、ルーがいない今、唯一回復系の魔法が使える彼女はあの場を離れられないだろう。

(私がやるしかない……)

唇を噛みしめ、小さく頷く。
力強く前を見据えると、その視線に気づいたポワソンがクスッと笑った。

「いい事教えてあげましょうか?私の魔法は相手の魔法を奪うと同時に、私が最後に吸収した魔法を相手に与えるんです。だから貴女は今、私が滅竜魔法を奪う前に奪った魔法が使える」

その言葉にココロは目を見開いた。
先ほどの力が抜けて力が入っていったあの感覚はそういう事だったのだ。
これで対等だ、と思ったと同時に、ココロは気づく。

「……だけど、貴女は知りませんよね?私が最後に奪った魔法が何かを」











暗闇の中を、黒が歩く。
鋭い光を宿した黒いつり気味の目に黒装束、黒髪が1歩進む度に揺れる。
ふと黒は足を止め、装束のポケットに手を突っ込んだ。
ジャラリと音を立てて取り出したそれを、静かに見つめる。

“それ”は、鍵だった。
特に目立った装飾のな
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