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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第一話 僕が大家!?しかも何このお屋敷!その三

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「すぐにわかるからな」
「それで今日はかよ」
「ああ、これから両手に花だよ」
 既に美人さんをそれぞれ両手に抱えての言葉だ、これ以上の説得力のある言葉はなかった。実行を伴っているだけに。
「楽しんで来るな」
「性病にも気をつけろよ」
「そっちは本能でわかって避けてるから大丈夫だよ」
「それって何処のスナイパーなんだよ」
「あの人よりもててるぜ」
 こうした話を僕としてだった、親父は白人と黒人の美人さんをそれぞれ連れて大阪に行った。後は言うまでもなかった。
 僕は家で一人で晩御飯を作ってお風呂に入って勉強をしてから寝た、そして次の日学校でクラスメイト達にこうぼやいた。
「全く、うちの親父ときたら」
「ああ、止さんだよな」
「あの外科医の」
「医者としての腕はいいらしいよ」
 このことは僕も認める、何しろブラックジャックと呼ばれているだけに。
「天才的だってさ。けれど」
「けれどだよな」
「あの人は」
「女好き過ぎて」
 それでだとだ、僕はたまりかねている顔で皆に話していった。
「昨日もなんだよ。ラスベガスで引っ掛けたっていう」
「女の人とか」
「一緒に」
「それも二人を連れてね」
 僕はうんざりとしている顔で話した。
「夜の大阪になんだ」
「相変わらずだな、御前の親父さん」
「本当に」
「全くだよ、最低だよ」
 人間としては、という意味での言葉だ。紛れもなく。
「うちの親父は」
「というかな」
「御前はな」
「ああ、僕はね」
 他ならぬ僕自身はというと。
「そうした話とはね」
「無縁だよな
「本当に」
「そんな話ないよ」
 一切と答えた、このことは本当のことだ。親父も僕に子供の頃から嘘は言うなといつも教えていた。親父は確かに女好きでも嘘吐きではない。
「本当にね」
「あの親父さんでか」
「全然か」
「うん、全然だよ」
 本当にはっきりと答えた。
「そんな話全くね、生きていてね」
「この十七年か」
「女っ気なしか」
「止さんの息子で」
「それでもかよ」
「うちの親父はまた特別だから」
 僕はこのことを強調した、せずにいられなかった。
「そっちの方だと」
「八条家の人でも?」
「うん、うちの家系って純愛の話が多いんだけれど」 
 こうした話には尽きない、八条家は。それこそ維新以前から代々純粋に愛し合った話が多い。けれど。
 それでもだ、うちの親父だけは。
「うちの親父はその中でも異端児なんだ」
「目茶苦茶女好きで」
「それこそ取り替え引っ替えなんだ」
「そうだよ、僕もね」
 その親父の息子の僕もだ。
「そうした話はなくて」
「彼女いないよな」
「いないよ」
 それも十七年の間だ。
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