暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはStrikers〜誰が為に槍は振るわれる〜
第一章 夢追い人
第2話 心を許せない仲間
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 フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは焦っていた。
 普段は穏やかで心優しく理知的な女性なのだが、そんな彼女でもこのときばかりは焦らずにはいられなかった。
 なぜ彼女がここまで焦っているのか。それは先程送られてきた念話が原因だった。

 “彼”が来た。いったん部隊長室に戻ってきて。

 先程フェイトの上司であり、なによりも親友である八神はやてから送られてきた念話。
 裏もなにもない、額面通りの意味のその念話だが、それを聞いた時、彼女は自責の念のあまりその場で膝から崩れ落ちそうになったのだった。

 “彼”とはすなわち、今日来る予定になっている新人のこと。
 つまりは今日、自分が、部隊長室まで案内するはずだった隊員のことである。

 走るのと変わらないスピードで廊下を歩きながら、フェイトは自分を責め続ける。もっと早くロビーで待機していればよかったと。

 常識的に考えればあまつさえ約束の時間の一時間も前に来て、誰の断りもなしに勝手に隊舎内を歩き回った彼の方に責がある。
 だが優しいというか人がいいというか、フェイトはそうは考えられなかった。
 確かに普通は一時間も前に来るのはおかしい。だが、六課隊舎の敷地面積を考えれば一時間前に来る可能性を考慮にいれるべきではなかったのか。

 しかも今日来る新人は、あの首都防衛隊の隊員だという。
 あまりいい噂は聞かない隊ではあるが、それは見方を変えればそれだけ強い志を持った局員たちが集まった部隊なのだと捉えることもできる。
 ならば、これから自分が働く部署がどのような部署で、どのような局員たちが集まっているのか、それを無機質な文字の並ぶ書類の上ではなく、生きた空気の中で知りたいと思ってもおかしくないことであり、アグレッシブな人間なら一通り知っておくために隊の長に会う前に一通り隊を見て回りたいと思うかもしれない。
 自分はそこまで考慮にいれるべきはなかったのではないのだろうか――否。彼が隊舎内で迷子になり、自力で部隊長室まで辿り着かなければならなくなったこの状況を見れば、自分はそこまで考慮に入れなければならなかったのだ。

 そこまで考えが行き着き、フェイトは唇を噛みしめた。
 そもそも、事の発端からして自分に責任があるのだ。

 機動六課設立から一か月と少し。なぜこのような中途半端な時期に、新人を迎えることになったのか。それは現在のライトニング分隊の状況に原因がある。

 現在ライトニング分隊は、フェイトを隊長とし、副隊長にシグナム、そして隊員にフェイトの秘蔵っ子であるエリオとキャロの計4人で構成されている。
 無論これはただ単に縁者を集めたとかいう安直な理由で構成されたのではなく、各々の能力や、隊内での役割を鑑みて編成されたものである。

 が、にもかかわらず
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