暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
17:male
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「……じゃあ、女性陣はまだ準備中なのだね?」

「ああ。もうそろそろだと思うんだけど……」

 今はパーティ集合の約束の時間まで、あと五分を切ったところだ。
 彼女達は十分前になっても、ユミルをあちこちへと引っ張り回しながらのドタバタ劇を続かせていた。
 俺は先に皆に断わった上で、集合場所であるもう一方のNPC経営の宿へと足を運ばせていた。
 そのドアの前には既にハーラインとデイドの二人が待っており、事情を説明するとハーラインは笑いを一つ、デイドは舌打ちを一つのリアクションを寄越した、という所で今に至る。

「まぁ、女性はそういうのに時間をかけるものだからね。紳士たるもの、ここは気長に、かつ優雅に待とうではないか」

「うぜぇ……」

 ちなみに、二人にユミルのことはまだ一切話していない。理由は、彼らの驚くところが見たい半分、ユミルが本当に一緒に来てくれるかまだ怪しいので黙っているという気持ちが半分という心境から来ている。

「そういや、先にユニコーン捜索に出かけてた連中、みんな帰ってきてたぜ」

 デイドが背後の宿屋のドアを肩越しに親指で指差す。

「テメェの予想通り、先鋒だった奴らはマッピングに難航してたようだな。森の道がかなり入り組んでるらしい。モンスターもエンカウント率こそ少ないが、階層の割りに強ぇモンスターが群れで襲ってくるタイプのアルゴリズムなんだとさ。トレジャーボックスも新ダンジョンもさっぱり見つからねぇとかぼやいてて、まだ半日なのに随分と疲弊(ひへい)してたな。少し前に、数チームいた奴らの内の一組が早くも諦めて帰ってった。ハッ、性根の欠片もねぇ奴らだ」

 やれやれと肩をすくめつつ、鼻で笑う。それに俺も苦笑しながら、

「仕方ないさ。時間が経てば経つほど、情報を掴んだ他のライバル連中もこの地へとやって来るかも知れない。そんな焦りを覚えながらの捜索は案外疲労が溜まるもんだ。……ま、俺達は気楽に行こうぜ」

 俺としては、これ以上この村に人が増えても特に問題は無い。……既にこの地に居て、かつ条件を満たしている死神容疑者は、もう四人から増える事はないのだから。

「まぁ、諦めて帰っていった彼らも()()め、今の内にと先程キリト君が公開したばかりのユニコーンの情報を売りにでも行って素寒貧(すかんぴん)(ふところ)(なぐさ)めているのだろうね。……ふふ、この狩りが終わったら、ユニコーンの(たてがみ)を手に、彼らの眼前で見せびらかせるとしようかね?」

「ッハハ、そりゃいいな。そん時ぁ、オレも(ひづめ)を持って見下してやるとするぜ」

「意地悪いなぁ、お前ら……」

 俺の一言に二人は揃って笑いに肩を揺らす。……まったく、この二人も短い間によくここまで
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