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弓兵さんの狩人生活
5日目
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村の名前は“ユクモ村”というらしい。
外観を簡単にいうと、ちょっとした温泉街のようなところとでもいっておけばいいだろう。
村の中央部にある、浴場を中心に様々な露店が並んでいて、それを中心に村は発展していったのだと思われる。
――そういえば、村に近づくにつれ、微量ではあるが硫黄のような臭いがしたのは、この村に温泉があったためであろう。


「さて、お兄さん。村長のところに報告に行きましょうか」

そういって、カオリは歩き出した。
その顔には、無事に帰ってこられたという安堵からか、安心しきった顔をしている。
やはり、“ハンター”とはいえ、年増もいかぬ少女。
恐怖や不安という感情があるのであろう。――まあ、そんな感情を抱けている内は人間としては“正常”であろう。そして、安全でもある。
一番危険なのは、狩りという行為そのものに慣れてきて、その正常な人間が抱く、恐怖や不安といった感情を失くしたときであろう。
“この程度の依頼なら、私なら死なない。”そのような油断や慢心といったものが死を生む。
彼の“英雄王”だってそうだ。彼ほどの英雄に勝てたのも、彼が自分の力に慢心していたのも大きい。
それほど、自分の力に慢心するというのは危険であるということだ。

「お、カオリちゃんおかえり。今夜はおっちゃんの店によってけよ。おじちゃんサービスしとくからさ」
「カオリちゃん無事に帰ってこれたんだったんだね、よかったよ。おばさん心配で、心配で」
「「「「ねーちゃん、遊んで!!」」」」

八百屋の店主。買い物帰りなのか、荷物を抱えた女性。元気溌剌な子供たち。
彼女が道を通る度に様々なところから声がかかる。

「ありがと、おじさん。後で寄るね〜」
「おばちゃん。心配してくれてありがと」
「ごめんね。遊んであげたいんだけど、お姉ちゃんもやることあるからさ」

彼女は彼女で、声をかけてくれた人、一人一人に返事をしているものだから、必然的に移動速度も遅くなる。
このまま続けば、次第には立ち止まって話はじめてしまうであろう。

「………カオリ、とりあえず報告をしにいかないか?村長とやらも心配しているのではないかね?」
「ああ、そうでしたね!!じゃあ、みんな、また後で」

元気に手を振りながら、歩き始める少女。
その様を見て、ふと思い出すのは、生前、私がまだ衛宮士郎と呼ばれていた時に衛宮邸に頻繁にやってきた姉のことだった。
今、目の前にいるカオリと姉と慕っていた彼女はどことなく似ていた。
別に、見た目などの外見的なものではなく、いきなり突拍子もないことをしでかしたり、以外にも皆から好かれていたりするなど、内面的なものが似ているように感じた。


「以上が、今回の依頼に関する報告になります」
「ふむふむ。なるほどの
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