暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
全ては呼び鈴とともに
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の思考は、その《対象》のガキを目の前にしても揺らぐ事はなかった。

玄関の奥から現れた、車椅子に乗る線の細い少年。車椅子を押す中学生くらいの少女は、姉だろうか。

しかし調べる限りでは、彼――――小日向蓮に肉親は()()()()()はずだが。いや、従姉がいたとかあったが、もしやそれか。

正直、モヤシみたいだ、という第一印象を得なかったと言ったら嘘になる。

中学からグレ始め、体格にも悩む事がなかった木瀬にとって、ちっこくて細っこい男というのはガリ勉というイメージしか湧かない。まぁ、このイメージもいささか極端的である、という自覚はあるのだが。

少年は言う。

おじさん達は、と。

突然訪れてきたダークスーツな二人組に言う台詞としては、まぁ当然なものだ。

しかし、敬語も何もなしにいきなり『おじさん』ときた。

たいした度胸である。というかソレは喧嘩売ったつもりかよし買った。

木瀬も八伎も、どう控えめに見ても二十代後半で、金色という頭の悪いといつも言われている色に髪を染めている自分にいたっては、たまにグレ切った高校生と呼ばれるほどだ。

自制したつもりだが、いくらか剣呑になってしまった目つきで木瀬は少年の、長い前髪の奥にある二つの瞳にガンを飛ばした。

別に敬語を使われても痒いだけだが、しかしこんな態度を始終続けられていたら、いつキレるか分からない。

木瀬にとって子供に対する処世術といえば、ガン垂れて怯えさせて黙らせるという非常に雑な方法だけなのだ。

だが直後。

木瀬宗次は一歩下がった。

…………………………………。

……………………………………………………………………。

………………………………………………………………………………………………………?

何だ?

()()()()()()

それは、木瀬が生まれて初めて感じる感覚だった。

例えるとしたら、計算高い狼の一団に遭遇したときのような感じ。

すなわち、一歩でも動いたら引き裂く、と。

言外に叩きつけられているような、そんな異様な感覚。

組同士の抗争でも、下っ端にナイフ片手に闇討ちされた時にも感じ得なかった、明確な命の危機。

紛争地帯の、弾丸飛び交う最前線に素っ裸で放り出されたような気分を、木瀬は味わっていた。

冷静に考えれば、その感覚にいくらでも反論はつけられる。

相手はガキだぞ。

車椅子に乗ってるんだ。

従姉に介助してもらわなきゃいけない《弱者》だぞ。

しかしそれでも、アゴを伝う汗はとどまる事を知らない。

それほどの殺意を、眼前に佇む少年は静かに放出していた。

圧倒
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ