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永遠の空〜失色の君〜
EPISODE41 狂王
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それはつまり、絶対防御のカットアウトだといことに気が付くのはライが敵に剣を振りかざした直後だった。

ヴィクトリアがにやりと笑う。それにライは身を引こうとするも敵の腕が絡みついてそれを許さない。自爆かと思ったがそれも違うようで相手の胸部装甲が開くのが見えた。


〔不味い、この距離では!〕


ヒヤリとした感覚が背中を伝う。笑みを浮かべるヴィクトリアを睨み付けるライを、声と共に遠くからの射撃がその窮地を救った。

センサーの端に映る黒い機体。ラウラだった。


「貴様よくも・・・・、兄上、ご無事ですか!?」


ラウラの声も聞こえないというようにライは行動に移る。いったいどうしたのかと思考するラウラにセシリアが合流し二人で敵の僚機の排除にあたる。


「クッ・・・・、話が違う!この力があれば私は無敵ではないのか!?」

目まあぐるしく動く騎士を目の前に成す術がないヴィクトリアは毒づく。今できるのは近づかれないよう撃ちまくることのみ。ライが軌道を変え、こちらにまっすぐ向かってくる。その手に剣を携え、連結させてランスにして構えながら突っ込んでくる。直線的で防ぎやすい攻撃ではあるがわかっていてもそれに反応できなければ意味がない。赤き刃は腹部を掠め、躰を捻ったことで何とか直撃という結果を変えることに成功し、すかさずビームを撃つ。それがヘッドギアにあたり、絶対防御のカットされた装甲を薙ぐ。素顔がさらされ、すれ違う瞬間、目が合う。

血走った眼、青いはずの瞳は片方が赤く染まり、此方を睨む。そこに迷いや躊躇いは一切なく、ただ純粋に殺気だけが存在する。今、ライにはヴィクトリアを殺すことしか完全に頭になかった。


「なんのよ・・・・なんなのよ、此奴は!?」


口角を、ニヤリと釣り上げた。それに戦慄し、ヴィクトリアは顔を引き攣らせて即座に撤退行動に入る。その際、周囲に散らばっていた僚機たちを呼び寄せて壁を作るがそれも意味を成すまでには至らなかった。ホロウィンドウに浮かぶ無数のロストの文字。

後方を見る。あの歪んだ笑顔が、視界に映る。シールドバリアが身を保護しようと働くもそれも気休めに過ぎない。背中を斬られ、血が出る。熱い感覚が背中から全身に伝わり、意識が揺らぐ。それをなんとか耐えながらもヴィクトリアは機体を駆る。


冗談じゃない。こんな化け物、勝てるわけがない。頭にあるのは恐怖と絶望。そして生への執着だが、それも目の前のモノを見てしまってはすべてが無意味に思えてくる。


「・・・・死ね」


右手の武装が展開する。掌にエネルギーが収束し、アビリティと共に打ち出す。膨大なエネルギーの奔流がヴィクトリアを吹き飛ばし、機体の全ての武装を破壊しつくす。かろうじて絶対防御が発動するが、それでも躰への
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