EPISODE32 紅蓮
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ーションアサルト、クロスシフトA。参ります!」
カーキイエローとレモンイエローの機体が躍る。銀の鐘を発射前に全砲門を開き、撃ち尽くす。ミサイル、弾丸、その全てが爆発の連続で絶え間なくさく裂する。だが、それでも銀の鎧を停止させることは敵わない。
だから。
「その程度、止められなくては“ドイツの冷氷”の名が廃るというもの!」
翳した右手から広く広がるフィールド。学年トップクラスの実力はダメージを負っても尚衰えることを知らない。
そして――――
「一夏、ライ!」
紅の機体が二人の手を取る。つないだ手から伝わる温度が、機体の活力となり湧き上がってくる。
[エネルギーフル充電・・・・これはあの狂兎も粋なものを作ったものだ]
“絢爛舞踏”。白式と対を成す紅椿の単一能力は僚機にエネルギーを充電させることにある。それにより白式とランスロット・クラブTは尽きかけていたエネルギーを回復。これにより、クラブの最後の武装が解放された。
徐々に追い詰められていく僚機たち。それらを見上げ、二人は互いに頷く。
「勝ってこい、二人とも」
箒の言葉を背に白と蒼は飛び立つ。ボロボロになりながらも仲間たちが作ってくれたこの刹那、無駄にはしないと入れ替わりでクラブTが回転蹴りを繰り出し福音を蹴り飛ばす。さらに追い打ちとばかりに白式が刀を振るい、もう一対の翼を切り落とす。錐もみしながら落下していく福音だが、その最中も再生能力は止まらない。エネルギーの際限なく使われる再生能力は脅威だが、それもパイロット保護を最優先事項と定めるISならば、それも限りがある。翼自体は修復できても武装オプションまでは回復できないようだ。
だから、チャンスはここしかない。
「…決めるぜ」
『ああ。行こう』
同時に飛翔する。
[ロック解除。シールド反転、輻射波動機構、スタンバイ。いいかライ。エネルギーが回復したとはいえ調整が不十分だ。一回きりの限定解除だ。キッチリ決めろ!]
『わかっている。一夏、タイミングを合わせる!』
「おう!」
反転したシールドに備わった爪がクラブの手を覆うと掌にエネルギーが収束していく。白式は左手を、クラブTは右手を突き出す。その姿が、一瞬C.C.の記憶にある紅い機体と重なったのを感じて口角をあげる。
(何が未練はないだ。未練ありまくりではないか・・・・)
二機の腕が福音を捉える。エネルギーをガリガリと削りながら落下していく最中福音は二人の首に手を伸ばす。それは殺したそうにも、縋るようにも見えた。
だからライは、その手を握る。大丈夫だと、言い聞かせるように。
そして、死闘は終焉を迎えた。
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