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雲は遠くて
45章 尾崎豊を彷彿とさせる水谷友巳
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ね。あっはは。
それに、きょうは、美青年がご一緒とはね。最高ですよ。あっはは」

「あ、竜さん、ご紹介します。彼は、水谷友巳(みずたにともみ)くんです。
本人、おれに憧れているなんていって、突然、おれのマンションで
待ち伏せしていて、おれは捕まっちゃったんですけど、
彼の話をよく聞いてみると、おれなんかよりも、あの尾崎豊の大ファンというか、
尾崎に100%心酔しているロックンローラーなんです。
(らん)のように、ルックスもファッションも、尾崎豊を彷彿(ほうふつ)
とさせるヤツなんです。あっはっは。まあ、しかし、才能あるやつなんで、
おれもなんとかして、かれのミュージシャンとしての才能を開花させてやりたいと
真剣に思っているんですよ。ただ、いくら、尾崎豊の歌がうまくても、
オリジナル性をどのように育てるかが、課題ですけどね。
おれ自身も、尾崎豊には心酔していましたから、コピーやマネから、
オリジナルの道への(きび)しさはわかっているんですけどね。
ともちゃんを見ていると、自分の若いころを見ているようで、
ほっとけないんですよ。はっはは。まあ、竜さん、よろしくお願いします」

 そういって、頭を下げる信也だった。

「ううん。ホント、尾崎豊を思わせるような、イケメンの青年ですね。
今夜は、楽しく飲んだあとで、カラオケでもいって、ともさんの歌を
ぜひ聴かせてもらいたいなあ」

「ホントですか?ありがとうございます。ぜひ、歌わせて下さい!」

 そういって、清々しい笑顔で、水谷友巳は、対面している竜太郎に頭を下げた。

 「ともちゃんの20歳をお祝いして、乾杯(かんぱーい)!」

 風情のある屋根つきの屋台風のテーブルで、信也が音頭(おんど)をとる。

 「ともちゃんって、やっぱり、尾崎豊に似ているわ!声もルックスも」

 竜太郎の隣の秋川麻由美が、生ビールをおいしそうに飲みながらそういう。

 大沢詩織も、「ともちゃんって、ホント、尾崎みたいに、かっこいいわ」といえば、
川口美結も、「うんうん、尾崎とはちょっと違ったタイプの、でもイケメンよね。
彼女がいないなんて、信じられないわ」といった。

 「おれ、最近、フラれたばかりなんですよ。でも、それで、歌を1つ、作ったし。
あっはっは」

 そういうと、水谷友巳は、わらって、頭をかいた。そのシャイな仕草(しぐさ)や、
瞳の澄んでいて、鋭い輝きが、あの尾崎豊に、どことなく似ていた。

≪つづく≫ --- 45章 おわり ---
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