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夏祭りフェイズ  1
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ている手で彼女の髪を撫でる。気付いた子達の視線が痛いが気にせずに。特に“二人”がめちゃくちゃ凝視しているが、気にしない振り。

「……ふん、でれでれしちゃって、ばか秋斗」
「……今日は譲りましょう華琳姉さま。今度たっぷりわがままを言って困らせてあげればいいんですから」

 怪しげな会話をしている二人からは少しばかり黒いオーラが出ていた。
 優しげながらも恐ろしく微笑む月を見て、華琳はにやりと笑う。

「ふふ、それもそうね……じゃあ……皆っ! 祭りに繰り出すわよ! よくこの日の為に頑張ってくれたわね! 警備の兵達に感謝して、同僚達に感謝して、民達に感謝して、生きている事に感謝して、この日を目一杯に楽しみましょうか!」

 瞬間、わっと上がる歓声。笑顔は晴れやかに。何を食べよう、何で遊ぼう、とりあえず楽しめばいい。
 この場には将も、軍師も、王も居ない。
 ただ皆が、一人の子供。今を楽しむ、それぞれがそれぞれのわがままの為に楽しむ少女達と少年。
 祭りは人を子供に戻す。
 それはいつの時代も、どの世界でも変わらない事であった。

「さ、行こうか。雛里」
「はいっ! 秋斗さん!」

 彼と彼女と彼女達はそうして、楽しい楽しい祭りの夜に繰り出した。
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