暁 〜小説投稿サイト〜
雲は遠くて
19章 信也と 詩織の ラブ・ストーリー (1)
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
めい)に、()きそうになったり、
その反対に、男らしく、笑って見せる、岡だった。

しかし、10分とはたたないうちに、
岡は、詩織のことはあきらめて、
詩織と信也を(むず)びつける、
愛のキューピットの役、
パイプの役になることを、
引き受けたのだった。

複雑(ふくざつ)心境(しんきょう)というのが、
一般的にも、岡の立場のはずだったが、
生まれつき、単純なタイプの 岡には、
その複雑な心境とか、疲れる葛藤(かっとう)とかが、
(だい)苦手(にがて)なようであった。

5時5分。

大沢工務店(こうむてん)駐車場(ちゅうしゃじょう)に、
川口信也のクルマ、(けい)のスズキ・ワゴンRが()まる。
走行距離も 5万キロを()えていて、
()()えを考えることもある、大学1年のとき、
バイトをして買った、
いまも 愛着(あいちゃく)のある中古(ちゅうこ)のクルマだ。

大沢詩織(おおさわしおり)の父親は、家や店舗(てんぽ)の、
設計、施工(せこう)、リフォームや販売などの、
工務店を経営している。

「しんちゃん、元気!?」

「元気だよ、詩織ちゃんも、バンドは、うまくいってるの」

「うん、だいじょうぶよ。みんな、気の()う、
いい人たちばかりなの!」

詩織は、(となり)のシートにすわると、信也に、
軽く、キスして、ハグをした。

「グレイス・ガールズって、名前がいいよな!
グレイス(GRACE)って、
美しいとか、上品とか、優雅(ゆうが)とか、
意味するんだから、女の子たちのバンド名としたら、
これ以上ないんじゃないの!?」

「そうよね、優美(ゆうび)な少女たち、
神の(めぐ)みの、少女たちという意味ですものね。
すてきな名前で、わたしも大好きなの」

≪つづく≫ 
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ