暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜Cross world〜
cross world:交響
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、と思わず胸中で呟きながら、あの戦闘の中では感じ得なかった感覚が、少年の中に芽生える。

それは、既視感。

どこかで会ったような、などという曖昧な感想では済まされない、圧倒的な既知感。

思わず口を開きかけると、対する少年も全く同じタイミングで唇を開きかける。

「「………………………」」

気まずい沈黙が流れる。

耐え切れず、口を開く。

「なぁ、おれ達って、どこかで会った事ってあったっけ?」

「……………」

しばしの静寂の後、眼前の少年はゆっくりと首を左右に振る。

「いいや、会った事はないよ」

「そっか」

そう言われたら、なぜかその通りだと思えるので不思議なものだ。

胸の内を覆っていた、圧倒的な既視感や既知感も、全てが跡形も無く雲散霧消していた。

数瞬前まではあれほど気になっていた疑問が今や、もはやどうでもいいような事になっていた。普段の自分ならば、それ自体を怪しんでいたのかもしれないが、しかし今はそれこそどうでも良かった。

お前が言いたかったのは?と。

目線で訴えかけると、それにも少年は首を振った。

「それも……もういいんだ」

「………………………」

そっか、と言いつつ、少年もかける言葉をなくしていた。

何かが終わった。

奇跡のような確率で成り立っていた砂上の楼閣が、今崩れ始めている。

限界まで張り詰めた絹糸は、今にも千切れそうで悲鳴を上げている。

「バトンタッチの時間だ」

唐突に、少年が口を開く。

「あぁ」

返事を返しながら、少年も大きく首を縦に頷いた。

二人の少年は、全く同時に足を踏み出す。

交錯するように。

交換するように。

交流するように。

交互するように。

交誼するように。

交雑するように。

交語するように。

交信するように。

交角するように。

交手するように。

交差するように。

交響するように。

交際するように。

言葉を交わして交わって、両者はすれ違う。



パァァン!!



右手と右手を音高く叩き合わせ、すれ違う。

交し合う。
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