暁 〜小説投稿サイト〜
雲は遠くて
15章 カフェ・ド・フローラ (5)
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
15章 カフェ・ド・フローラ (5)

「なるほど、12人中、5人が見たということになりますか?!
やっぱり、ジブリの映画は、人気があって、大ヒット中ですね。
『風立ちぬ』は、
おれも見て、感動しましたよ。
ラストシーンで、宮崎監督みたいに、泣いちゃいけないと、
我慢(がまん)しちゃいました。
主人公たちの、人生に迷わずに、生きていく姿には、
いつも、感動したり、(はげ)ませれるものがありますよね」

「わたしは、主人公の菜穂子(なおこ)さんが、風に飛ばされそうになった、
二郎(じろう)さんの帽子を、
すばやく、からだを()ばして、キャッチした、場面で、
感動して、思わず、涙が出そうになりました」

平沢奈美(ひらさわなみ)がそういった。

「奈美ちゃんは、岡くんと、映画に行ったんでしょう。
映画見に行った人って、
よく考えてみたら、みなさん、なかよく、ふたりだけの、
デートだったわけで、うらやましいですよ!
おれも、そろそろ、デートしてくれる相手を見つけないと!」

そういって、みんなを、わらわせたのは、
幹事長で、3年生の矢野拓海(やのたくみ)であった。

拓海(たくみ)さん、おれの場合は、奈美ちゃんを、
強引(ごういん)に、
『風立ちぬ』に、(さそ)ったんだから、デートではないと思います」

岡昇は、生真面目(きまじめ)(こた)える。

「あっはっは。そういう強引さも、デートには必要なんだよな、岡ちゃん」

と、わらって、矢野拓海がいえば、みんなも、またわらった。

「おれも、ジブリの大ファンだから、()に行きますよ。
宮崎駿(みやざきはやお)監督や、
プロデューサーの鈴木 敏夫(すずきとしお)さんって、
ブログとかで、平和憲法の9条を、守ろうとかいっているじゃないですか。
徹底的な、戦争反対論を展開していて、
おれなんか、そっちの、彼らのコメントのほうに、
感動して、涙も出てきそうですよ。
ジブリのアニメにも、彼らの憲法を守ろうという考え方も、
おれなんか、深く共感しちゃうなあ・・・」

森川純が、そういって、生ビールを、おいしそうに、ゴクリと飲んだ。

「戦争って、ムードで、いつのまにか、始まっているていう感じが、
歴史をみているとあって、それって、(こわ)いよな」

ベース・ギターが担当の、やや、ふっくら感のある、
高田翔太(たかだしょうた)が、そういって、生ビールを飲む。

「戦争やって、いいことなんて、何もないよ。
それなのに、世の中から、()くいならないよな。
(おろ)かな、戦争が・・・」

そんなふうに、みんなにむけて語る、森川純には、
心優(やさ)しいリーダーのような、落ち着き(おちつき)があ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ