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雲は遠くて
8章 美樹の恋 (その7) 
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せてわらった。

神道(しんとう)では、新しい命を生み出す、
男女の交合(こうごう)は、自然なことだし、すべての根源として、
はっきりと肯定(こうてい)しているんだよ。

交合なんていうと、堅苦しいけど、
セックスやキスとかの男女の営みは、大昔から、
五穀豊穣(ごこくほうじょう)や、進歩や発展を生み出す、
清浄な行為(こうい)で、 すばらしいものと、
ほめたたえているんだから。

仏教の真言密教(しんごんみっきょう)の教えの、
理趣教(りしゅきょう)というのが、
神道の考え方に、とても似ていて、おもしろいんだ。

そもそも、人間というものは、生まれつき、
(よご)れた存在ではないとして、
理趣経は、人間の営みは、
本来は、清浄なものであるといっているんだ。

理趣経では、セックスや性欲は、清浄であるとか、
男女のセックスのよろこびは、清浄であるとか、
自分も他人も、大自然も、
一体化して、本来はひとつであるとか、いってるんだ。

神道と理趣経って、セックスについて、
まったく同じ感じで、賛美しているよね」

「そうなんだ。わたしたちって、清浄なことを、
しているってことね。自然な行為だもんね。
じゃあ、もっと、いっぱいキスしてもいいのよね」

ふたりは、わらった。

≪つづく≫ 
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