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雲は遠くて
7章 臨時・社内会議 (その4)
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くという特徴もあります」

「ライブハウスでの価格設定は、若い人たちが利用しやすいようにと、
極力、低く(おさ)えて、市場価格の50%程度に設定してあります。
モリカワの全店で利用可能なポイントカードを使えば、さらに価格は、
安くなるシステムになっています。
みなさんには、経済的な負担を極力少なくしていただいて、
芸術や文化に(した)しんでいただいたり、芸術活動をしていただきたいからです」

会議の進行役の、ヘッド・クオーター(本部)主任の、
市川真帆(いちかわまほ)が、微笑(ほほえ)みながら、
森川誠のお茶を()()えた。

女性らしさの(さか)りの市川真帆には、ソフトな風合(ふうあ)いの、
ネイビー・ストライプの社服が、よく似合う。

「ありがとう。まほちゃん」と市川真帆と目を合わせて、森川誠は小声でいう。

「世間じゃ、よく、失敗は成功の(もと)といいますが、
まさに、そのとおりで、モリカワの(あら)たな。、
芸術・文化事業というものは、わたしの息子たちが始めた、
ライブハウス経営がヒントだったのです」と森川誠はつづけた。

一昨年(いっさくねん)前の2011年の6月に、長男の、(りょう)が、
ライブハウスを始めたのでしたが、その店の経営が、不景気ということもあったためか、
なかなか順調にはいかなく、不振(ふしん)だったのです。
店の資金を出していたこともあって、わたしも考えこんじゃったわけなんです」

そこまで話すと、森川誠は、声を出してわらった。

≪つづく≫ 
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