暁 〜小説投稿サイト〜
雲は遠くて
4章 多摩川(たまがわ)花火大会
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
わすことに成功する。

クラシックやジャズやポピュラーなどの広いジャンルの音楽を、
感性豊かな、高度な、ピアノ演奏で、弾きこなして、聴衆を魅了(みりょう)してしまう。
そんな松下陽斗を、そろそろ、世間やマスコミも注目すると、純は予想している。

多摩川(たまがわ)水辺(みずべ)の、
二子玉川(ふたこたまがわ)緑地運動場に設置された会場は、
人々(ひとびと)であふれるばかりであった。

4時ころには、みんなは、森川純が用意してくれた、
(とな)り合わせの、2つの丸いテーブルに、落ち着いた。

花火打ち上げ前の、独特の高揚感(こうようかん)
雰囲気(ふんいき)の中で、軽食などをつまみながら、
みんなは、自由気ままな会話を楽しんだ。
女子高生が4人もいるので、若々しい会話が(はず)んだ。

5時30分には、ステージ・イベントのオープニング・セレモニーの、
高校生の和太鼓の演奏。そして、区民の合唱団による合唱。
囃子(はやし)保存会による囃子などが披露(ひろう)された。

やっぱり、夏祭りの、太鼓の音って、からだに(ひび)いてくるから、
気持ちいいなぁ・・・と美樹は思った。

会場に集まった、美樹たちや、たくさんの人々は、
夏祭りふうのセレモニーに、()いしれた。

あたりが暗くなり始めた、夜の7時、花火のオープニングを(かざ)る、
連発仕掛(しか)け花火の、スターマインが打ち上げられた。

何十発もの花火玉(はなびだま)が、テンポよく打ち上げられる。
夜空に、つぎつぎと、色鮮(いろあざ)やかな、花が咲き、消えてゆく。

ドン、ドドドーンと、炸裂する、その心地よい音は、からだの奥や、腹にもしみる。

ポップでキュートな連発の花火もあれば、特別に作り上げた10号玉が、1本ずつ打ち上がる。

ふと、美樹は、なぜか、夜空を色鮮(あざ)やかに()める、花火の美しさと、
爆発音の中で、強い孤独感のようなものを、感じてしまうのであった。

・・・こんなに楽しい夜なのに、花火の(はかな)さが、やけに、(かな)しい。
前は、こんなじゃなかったのになぁ。もっと無邪気(むじゃき)で明るかったのに・・・

美樹の目には、誰にも()づかれないような、涙がうっすらと浮かんだ。

でも、姉の美咲は、美樹のそんな様子に気づいて、美樹の手をしっかりと(にぎ)った。

「美樹ちゃん、だいじょうぶよ。何も心配しないでいいんだから。
わたしは、いつでもあなたを、1番に、大切に思ているからね。
わたしもあなたに、いろいろと、心配かけてごめんね」

美樹の耳元で、美咲は笑顔で、そう、ささやいた。

「お姉ちゃん・・・」といって、美樹は美咲を見て、ほほえんで、
美咲の差し
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ