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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
追憶  〜 士官学校 〜
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い顔だったし十二歳の子供が入って来ると聞いていたから。それにしても予想以上に幼かった。

いつも図書室に居た、そして本を読んでいた。不思議だったな、普通は親しくなる人間が出来るはずだがそんな気配は無かった。特に編入生は後から入って来る事でハンデが有る。その分纏まりが良いんだがエーリッヒはいつも一人だった。年齢が低かったから編入生からも避けられたのかもしれない。

当然だがシミュレーションをする友人も居なかった。士官候補生はシミュレーションゲームをしながら相手を認め親しくなっていく。エーリッヒにはそれが無かった。時折シミュレーションをしていたが対戦相手はコンピューターだった。今思えばかなり妙な生徒だった、完全に孤立していた。

「どうした? 随分と楽しそうだけど」
エーリッヒが俺を見ている。
「楽しそうかな?」
「ああ、さっきからニヤニヤしている。上級大将の顔じゃない、悪戯を思い付いた士官候補生の顔だよ」
いかんな、思い出し笑いをしていたようだ。思わず苦笑が漏れた。エーリッヒも笑った。

「昔の事を思い出していたよ」
「昔の事?」
「ああ、昔の事だ。卿と親しくなる前の事だな」
「なるほど、それは平和な時代の事だな。卿らと知り合ってから碌な事が無かった」
おいおい、真顔で言うなよ。でも確かに卿が来てから退屈はしなくなった。最初の出来事は……。



「哨戒任務中、反乱軍の艦隊と遭遇した。反乱軍の兵力は一万二千隻、帝国軍は七千隻。君達が帝国軍の指揮官だとして、この場合どう対応すべきかを考えなさい」
シュターデン教官がしかめっ面をしている。もう少し普通の顔が出来ないのかな、この人。この人の顔を見ていると気が重くなる。戦術論概説の授業なんだからもう少し面白い授業にしてくれ。まあ設問はシミュレーション演習を想定したものだけど……。クレメンツ教官を見習って欲しいよ。あの人の授業は本当に面白いし分かり易い。

「君、どうかね?」
シュターデン教官が指示棒で候補生の一人を指名した。アドルフ・バーテルスだったな。成績は必ずしも良くない。指名されたバーテルスが顔を紅潮させて起立するのが見えた。
「機先を制して反乱軍を攻撃します」
バーテルスの答えにシュターデン教官が顔を顰めた。望ましい答えでは無かったようだ。

「ふむ、機先を制すると言うがそんな事は反乱軍も考えているだろう。君が機先を制するとは限るまい、私の言っている事は間違っているかね?」
言っている事は間違っていない。でも意地の悪い口調だからな、素直には受け取れない。バーテルスも顔が歪んでいる、屈辱だろう。“席に座りたまえ”と言われてバーテルスがのろのろと座った。この人、大佐だよな。まだ若いし士官学校教官って事はそれなりにエリートなんだろうけどこの人には上官になって欲
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