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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
群雄割拠の章
第1話 「貴女はどなたです?」
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  ―― other side ――




 季節は実りの秋―― 

 洛陽を占拠した董卓に対する連合軍の激戦から、早一年あまりが過ぎようとしていた。
 霊帝の崩御から始まり、董卓の台頭、連合の結成、虎牢関の悲劇を経て、大陸は平穏を取り戻したかに見えた。

 しかし、その裏で漢王朝の衰退を目にした諸侯は、新たな野心と野望を燃え上がらせる結果となる。
 秘密とした連合での密約は、当の諸侯によりもはや公然の秘密として流布されていたのだ。
 これにより、漢王朝の権威は失墜、連合に参加していなかった諸侯も、自らの野望を燃え上がらせるようになる。

 憂慮したのは、その漢王朝・献帝の後見人である曹操だった。
 彼女は蠢動する諸侯に睨みを効かせ、ある諸侯には歓待による『アメ』を与えて懐柔し。
 ある諸侯には、武力をちらつかせた恫喝による『ムチ』で暴走を押さえるように奔走した。

 その功績もあり、献帝は曹操に節鉞を仮し与え、録尚書事とし、司隷校尉も担当させた。
 『節鉞』とは漢の軍を独自に動かせ、軍令違反者には処罰もできる、いわゆる独裁権である。
 これにより、漢の軍事面を一時的とはいえ支配することになった曹操は、周辺諸国へ睨みをきかせる。

 それと同時に録尚書事(いわゆる宰相)と司隷校尉(大臣を監視する職)兼任することにより、漢の政務にも絶大な発言権が与えられることになる。

 このことに激怒したのは袁紹だった。
 自身を『四代にわたって三公を輩出した、名門汝南袁氏』と声高に触れ回っている彼女である。
 当然のごとく、曹操の急激な成り上がりに何も感じぬ訳はない。

 だが、反董卓連合での失策が一年以上経った後でも響いている。
 袁家の財力は、本人の『運』に任せた博打のような才覚で復興、その資金力は連合前よりも膨れ上がったものの、その評判は未だ回復してはいなかった。
 その為、慣れぬ面従腹背の姿勢で、曹操とは表面上、『互いに関わらず』を貫いていた。

 互いが、そのうち決着を着けなければならぬと思いながら……

 そんな中、大陸中に一つの噂が流れ始める。

『梁州の天の御遣いが姿を消した』

 その噂が北の地にいる曹操に届いた時、曹操は一笑に付した。

「あの御遣いが、劉備の元から去った? ありえないわね……どうせまた何か画策しているのでしょ」

 連合前にも一年ほど姿を消していた盾二である。
 また同じように姿を消して、劉備のために暗躍しているのだと、どの諸侯もその噂を信じなかった。

 諸侯が信じなかった理由の一つに、黄巾残党の討伐に、黒い服に身を包み、戦場を駆ける魔人のような男の姿が確認されたからでもある。
 それが御遣いの兄弟であるなど、誰も知らない故
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