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第五章
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第五章

「私は。彼と」
 一緒でいなければ寂しくて仕方がない、いとおしくて仕方がない。そのことが今わかったのだった。
「そうね。それだったら」
 スロバキアを見続けてはいる。それでもだった。
「私のいる場所も」
 答えが出たのだった。探していた答えが。
「あそこしかないのね」
 答えは出た。後はそこに向かうだけだった。彼女は静かに鉄道での度を続けた。しかし途中のスロバキアの美しい景色を見て立ち止まることはなかった。そしてそこに入ることもなかった。
 彼女は戻ってきたのだった。あの街に。今電車がそこに着いた。
 壮麗な駅である。ただ線路の数が多いだけではない。多くの人々が行き交うその駅の中はまるで宮殿である。その赤がかった光の中を多くの人々が出会いと別れ、来訪と去来をそれぞれ見せている。彼女は今その駅に戻ってきたのであった。
「おかえりなさい」
「はい」
 まずは電車から降りて出迎えの女性の勤務員に笑顔で応える。それは見事なチェコ語だった。しかもプラハ訛りが見られるものだった。 
 ややアーチになった天井からは太陽の光が差し込めている。その光を浴びながら駅のホームに降りると。そこに彼がもういた。
「待ってたよ」
「来てくれたのね」
「言ってたじゃない」
 ペテルは微笑んで彼女に言ってきた。
「待ってるって。ここでね」
「そうだったわね」
 そして彼女も夫のその言葉を受けて微笑んだのだった。
「確かにね。言ってたわね」
「それでどうするの?」
 彼は今度は妻の顔をじっと見てそのうえで尋ねてきた。
「これから。どうするの?」
「ええ、それはね」
 エディタは微笑んで彼の問いに答えてきた。
「もう決めてあるわ」
「そうなんだ。もう」
「決めてるわ。それはね」
 一呼吸置いてそのうえで出した言葉は。
「私はスロバキア人よ」
 まずはこう言った。
「それでも。貴方とずっと一緒にいたいわ」
「それでいいんだね」
「何処にいても。私は一人ではいられないから」
 一人旅でそれがわかったのだ。祖国を旅して。
「だから。私はずっとここに」
「わかったよ。それが君の出してくれた答えなんだね」
 ペテルは彼女のその言葉を微笑みで受けるのだった。
「じゃあ僕はそれで」
「いいのね」
「悪い筈がないじゃない」
 ペテルにすればまさにそれしかなかった。他には考えられなかった。
「僕も。一人でいたら寂しくて仕方がなかったよ」
「そうよね。私達は二人でないと」
 それがわかったのはエディタだけではなかったのだった。ペテルもだった。
「一人でいたらこの街にいてもだったのね」
「色褪せて。どうしようもなかったよ」
 彼もまたエディタと同じものを感じていたのだった。この街の中で。
 同じものを
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