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とある科学の裏側世界(リバースワールド)(フェニックス/不死鳥)

とある深夜の事だった。
人影も見えないような場所で音が響いた。
パン パン とそれは銃弾が放たれる音。
一人の黒スーツの男は胸辺りを深紅に染めてその場に倒れ込みやがて動かなくなった。
黒スーツの男が最期に見たものは、銃口を自分に向ける少年だった。
少年は黒スーツの男が死んだことを確認すると、
その男が持っていた一つのアタッシュケースに目を向けた。
アタッシュケースを開けると中には個人情報が記された資料が、
いくつかでまとめられて入れられていた。

「神薙 悠持(かんなぎ ゆうじ).......まずは彼だね。」

そう呟くと少年はアタッシュケースを持ち去った。
少年はアタッシュケースを持ってしばらく歩くと、とあるカフェに着いた。
カラン カラン 
カフェの扉は開いていた。
現在の時刻は深夜の午前二時。
普通のカフェなら開いているハズもない時間だ。
店に入ると、人当たりの良さそうなマスターがカウンターで待っていた。

「いらっしゃいませ野口(やぐち)様。」

野口はマスターの正面のカウンター席に座ると、注文した。

「マスター、いつもので。」

野口はここのカフェの常連中の常連だった。
それはマスターに名前を覚えてもらっている時点でも分かる。
少しするとマスターがコーヒーミルでコーヒー豆を挽き始めた。
途端に辺りがコーヒー豆の独特な香りに包まれる。

「どうぞ、お待たせいたしました。」

ほんのりと湯気がたつコーヒーを野口は口に運ぶ。
マスターが好きなクラシックミュージックをジュークボックスから流す。
その光景は何とも風情があるものだった。
それこそつい先程、人を殺してきたようには見えなかった。
野口が注文したコーヒーを飲み終えると、マスターが野口に話し掛けた。

「仕事は終わったんですか?」

「あぁ、終始なんの問題もなかった。
 欲しかった情報も手に入れることができた。」

野口の言葉を聞いてマスターはこう言った。

「ならば、今回ご来店して頂いた理由は"いつものアレ"ですね。」

マスターの言葉に野口はにこりと微笑み二つ目の注文をした。

「"第0学区"に戻るよ。」



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